概要
Hibはインフルエンザ菌b型と呼ばれる細菌で、インフルエンザウイルスとは異なる病原体です。髄膜炎、敗血症、肺炎、急性喉頭蓋炎などの重症細菌感染症の原因となる菌ですが、このワクチンが定期接種化されてからHib髄膜炎は98-100%減少しています。
予防接種(定期接種)
Vaccination
対象期間内であれば、公費(自己負担なし)で接種できるワクチンです。
Vaccination
Hibはインフルエンザ菌b型と呼ばれる細菌で、インフルエンザウイルスとは異なる病原体です。髄膜炎、敗血症、肺炎、急性喉頭蓋炎などの重症細菌感染症の原因となる菌ですが、このワクチンが定期接種化されてからHib髄膜炎は98-100%減少しています。
標準的には生後2ヶ月から接種を開始し、計4回接種します。生後7ヶ月以降に接種を開始すると接種回数が少なくなってしまいます。また、月齢が幼いほど重症感染症のリスクが高いので、生後2ヶ月になったら接種しましょう。
Vaccination
肺炎球菌は乳幼児の鼻の中に高率に定着する常在菌ですが、宿主とのバランスが崩れると感染症を発症し、時に髄膜炎や敗血症などの重症感染症の原因となります(このように本来無菌である部位から肺炎球菌が検出される病態を侵襲性肺炎球菌感染症と言います)。5歳未満、特に2歳未満は侵襲性肺炎球菌感染症のリスクが高くなり、それに対するワクチンの有効性は80%でした。
多くの人はHibと同じタイミングで接種します。標準的には生後2ヶ月から接種を開始し、計4回接種します。生後7ヶ月以降に接種を開始すると接種回数が少なくなってしまいます。また、月齢が幼いほど重症感染症のリスクが高いので、生後2ヶ月になったら接種しましょう。
Vaccination
B型肝炎の原因となるウイルスで、血液や体液を介して感染し、一部が持続感染になります。持続感染の多くは出生時または乳幼児期の感染で成立することが知られています。持続感染の10-15%は年月を経て、慢性肝炎を発症し、肝硬変や肝細胞がんを発症することがあります。
標準的には生後2ヶ月から接種を開始し、1歳未満の間に計3回接種します。
Vaccination
急性胃腸炎の原因になるウイルスで激しい嘔吐と下痢を起こします。感染力が強く、年齢に関わらず何度もかかります。初感染時が最も重症で、稀にけいれんや脳症を合併することがありますが、感染を繰り返すにつれ軽症化します。5歳までにほとんど全ての乳幼児がロタウイルスに罹患するとされ、ワクチン導入前は発展途上国を中心に世界で毎年50万人以上の乳幼児がロタウイルス感染症で死亡していたと報告されています。
標準的には生後2ヶ月から接種を開始し、ロタリックス®は2回、ロタテック®は3回接種します。初回接種は出生15週未満に行うことが推奨されています。
Vaccination
ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオの4種類に対するワクチンを混合したワクチンです。
生後3ヶ月から接種を開始し、計4回接種します。ただし、小学校入学前にこれらの抗体価が下がってくることが分かっており、日本小児科学会は就学前の追加接種を推奨しています(現在は任意接種になります)。この際に接種するワクチンは4種混合(5回以上の接種に承認がされていないため)ではなく、3種混合(DPT)と不活化ポリオを別々に接種することになります(それぞれの接種は同日で大丈夫です)。
Vaccination
結核の予防のためのワクチンです。日本の結核の罹患率は欧米先進国に比べるとまだ高く、結核の「中」まん延国と言われています。日本でも年間1万人が発症し、約2000人が結核で命を落としています。3-4歳未満、特に1歳未満で重症化する可能性が高くなります。
標準的には生後5ヶ月で1回接種します。1歳未満で受けないと公費で受けられなくなってしまうので、注意してください。接種後1週間以内に接種部位が赤くなる場合はコッホ現象の可能性があるため、必ず受診してください。(接種時にご説明いたします)
Vaccination
標準的には1歳と小学校入学前の計2回接種します。接種後に発熱や発疹が出ることがありますが、接種後少し時間が経った接種後7-10日に特に多く見られるのが特徴的です。
Vaccination
発熱や発疹といった症状が出ます。感染力が強く、ワクチンを受けなければ10歳までに約80%の小児が罹ると言われています。基本的には1週間程度の経過で治癒しますが、時に重症化することがあり、ワクチン未接種の場合、罹患者100万人に対して20人が死亡するとされています。妊娠20週までの妊婦が水ぼうそうに罹患すると、約2%の児が低出生体重、四肢低形成、小頭症などを呈する先天性水痘症候群を発症します。
標準的には1歳と1歳半に計2回接種します。ワクチンを受けておらず水痘罹患者と接触した場合でも、接触後72時間以内であれば緊急接種により感染予防と重症化予防が期待できますので、ご相談ください。
Vaccination
主にコガタアカイエカによって媒介され、ブタに感染しているウイルスです(豚は感染しても通常は無症状です)。日本脳炎ウイルスに感染すると100-1000人に1人が脳炎を発症すると報告されています。日本脳炎は致死率20-40%、神経学的後遺症は生存者の45-70%で残ると報告されており、予防が極めて重要な疾患です。
標準的には3歳から接種を開始し、計4回接種しますが、地域によっては生後6ヶ月からの接種が推奨されます。ブタの日本脳炎ウイルス抗体の保有率によって推奨される接種タイミングが異なり、千葉県・茨城県では生後6ヶ月からの接種が推奨されますが、東京都・埼玉県・神奈川県では3歳からの接種が推奨されています。しかし、基本的に生後6ヶ月から打てるワクチンではあります。
詳細は「国立感染症研究所ブタの日本脳炎抗体保有状況」で検索すると参照できます。
Vaccination
ジフテリアと破傷風の混合ワクチンです。(詳細は上記の4種混合の解説をご参照ください)
標準的には11歳で1回接種します。13歳になると公費で接種できなくなりますのでご注意ください。
Vaccination
HPVにはいくつかの種類(型)があり、9価ワクチンは、このうち9種類のHPVの感染を防ぐワクチンです。その中でも、子宮頸がんの原因の80~90%を占める、7種類のHPV(HPV16/18/31/33/45/52/58型)の感染を予防することができます。
1回目の接種を受けるときの年齢によって接種のスケジュールが異なり、合計2回または3回接種します。合計2回の接種で完了できる方は、1回目の接種を小学校6年生の年度から15歳の誕生日の前日までに受け、その後、5ヶ月以上あけて2回目の接種を受けた方です。いずれの場合も、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。
感染後の症状を軽減する効果はないので、感染予防として「初交前に接種」することで最大の効果が期待できます。高校2年生になるまでに接種しないと、公費で接種できなくなりますので注意してください。ただし、接種自体は15歳〜26歳の女性や、ワクチン接種を希望する27歳〜45歳の女性にも勧められています。
※HPVワクチンのみ接種後30分間の院内待機をお願いいたします。(接種後に迷走神経反射で倒れる方の報告があったため30分間の観察が推奨されています)